- 序 -
時は平安…
常世と似て非なる写世の世界の物語。
その世界…暦670年の倭国と呼ばれたその国は騒乱の中にあった。
一体いつからだったか誰も覚えてはいないが、
誰が気がついた時には、
この国は、妖魔と呼ばれる物の怪に蹂躙されていた。
世が平安に移る頃には
誰ひとり妖魔に逆らえなくなっていた。
朝廷は度重なる妖魔の攻撃に力を失い、
民衆は妖魔に怯えるだけの日々を強いられていた。
しかし
そんな強大な力を持つ妖魔に対抗する人間達がいた。
陰陽師
そう呼ばれた彼らは
太古から伝わる陰陽道という術を自在に操り、
妖魔さえ凌ぐ力を振るった。
その力は腕の一撫でで巨躯の妖魔が一瞬の業火に焼かれ灰になった。
時の朝廷はこの事実を知ると彼らに接触。
彼らの力を朝廷に取り込む事に成功した。
ここに対妖魔殲滅を使命とした「陰陽寮」が組織された。
彼らの働きは凄まじく妖魔は尽く討ち滅ぼされていった
…だが…
彼ら陰陽師と言えど無数とも思える妖魔達に対抗するには、
その絶対数が少なすぎた。
如何に力のある陰陽師がいても
たったのひとりでは出来る事は知れていた。
妖魔との終わりのない戦いの中、
ひとり、またひとりと陰陽師達は死んでいった。
そこで彼ら陰陽師達はある計画を朝廷に提案する。
それは陰陽道のエキスパートを育成する為の機関設立計画案であった。
ここに陰陽師育成機関 葛ノ葉学園が設立されたのだった。
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それから十年の月日が流れた頃
世が多くの陰陽師達の活躍で一応の平安がもたらされ、
少々その陰陽師達の数が過剰気味になりつつある、
そんな呑気な頃に
学園の門をくぐった陰陽師を目指す者達のお話である…
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